ネットワーク基礎

172から始まるIPアドレスとは?範囲・用途・プライベートIPを解説

172.0.0.0/8全体ではなく、172.16.0.0/12だけがRFC 1918のプライベート範囲になる理由と、実際の見分け方を整理します。

2026年9月7日
172.16.0.0/12のプライベートネットワークにルーターと複数の端末が接続されている概念図
172.16~172.31のアドレスは、家庭や社内LANなどのプライベートネットワークで使われます。

結論:172のすべてがプライベートIPではありません

IPアドレス 172でプライベートIPに当たるのは、172.16.0.0~172.31.255.255(CIDRでは172.16.0.0/12)です。先頭が172というだけで判断せず、第2オクテットが16~31に入るかを確認してください。172.15や172.32は、このRFC 1918の範囲外です。

この記事でわかること

  • 172.16.0.0/12の開始・終了アドレスと、範囲を見分ける方法
  • 172.0.0.0/8全体をプライベートと考えてはいけない理由
  • 10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16の違い
  • 172.16や172.31が家庭LAN、VPN、クラウドで使われる場面
  • 検索できない、接続できない、重複しているときの確認順

IPアドレス 172の範囲を最初に確認する

IPv4アドレスは4つの数字をドットで区切って表します。172から始まるアドレスを見ると「プライベートIPかもしれない」と考えやすいのですが、判定には第2オクテットまで必要です。RFC 1918が定める172系のプライベート範囲は、172.16.0.0/12の1ブロックだけです。

/12は先頭12ビットをネットワーク部として扱う表記です。第1オクテットの172は固定され、第2オクテットは16~31まで動きます。そのため、172.16.5.10、172.20.100.8、172.31.255.254は範囲内ですが、172.15.10.1や172.32.10.1は同じ扱いになりません。

項目172.16.0.0/12の内容
開始アドレス172.16.0.0
終了アドレス172.31.255.255
第2オクテット16~31
アドレス総数1,048,576個(220
用途家庭・社内LAN、VPN、仮想ネットワークなどのプライベート用途
根拠RFC 1918のPrivate-Use IPv4 Addresses

172.0.0.0/8と172.16.0.0/12を混同しない

172.0.0.0/8は、172.0.0.0から172.255.255.255までを含む大きな範囲です。しかし、RFC 1918のプライベート指定はその一部である172.16.0.0/12に限られます。第2オクテットが0~15、または32~255だからといって、すぐに「社内用」「公開用」と断定するのも危険です。特殊用途、組織の割り当て、実際の経路を別に確認します。

入力例172.16.0.0/12との関係判断のポイント
172.15.255.255範囲外172で始まるだけではプライベートとはいえない
172.16.0.1範囲内プライベート範囲の最初のブロックに含まれる
172.31.255.254範囲内プライベート範囲の末尾側に含まれる
172.32.0.1範囲外第2オクテットが32なのでRFC 1918の172系ではない
10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16のプライベートIPv4範囲を比較する図
3つのプライベート範囲は大きさと書き方が異なります。172系だけは第2オクテットの範囲を確認します。

172.16・10・192.168の違い

プライベートIPアドレスは、インターネット上で重複しない公開アドレスとして使うものではなく、組織や家庭の内部で再利用するための範囲です。代表的な3つは同じ目的で使えますが、プレフィックスの長さと運用上の慣れが異なります。

範囲CIDR特徴よくある利用例
10.0.0.0~10.255.255.25510.0.0.0/8大きなアドレス空間企業ネットワーク、拠点間VPN、クラウドVPC
172.16.0.0~172.31.255.255172.16.0.0/12第2オクテットが16~31部門分割、VPN、コンテナや仮想ネットワーク
192.168.0.0~192.168.255.255192.168.0.0/16家庭用ルーターで見かけやすい家庭LAN、小規模オフィス、Wi-Fi

どのプライベートIPアドレスの範囲が優れているかではなく、既存のネットワークと重ならないことが重要です。たとえば拠点Aが172.16.0.0/16、拠点Bも172.16.0.0/16だと、VPNで接続したときに同じ宛先が2つ存在し、どちらへ送るべきか判断できなくなる場合があります。範囲を選ぶときは将来の拡張、拠点間接続、クラウド側の予約範囲も確認します。

172から始まるIPアドレスが使われる場面

家庭や社内LAN

ルーターの内側では、端末、プリンター、NAS、監視カメラなどへプライベートIPが割り当てられます。家庭では192.168系がよく使われますが、172.16系を使ってはいけない理由はありません。DHCPサーバーが配布する範囲と、ルーター自身のアドレス、固定設定の範囲を重複させないことが大切です。

VPNや拠点間ネットワーク

VPNでは、利用者や拠点に仮想的な内部アドレスを割り当てるため、172.16.0.0/12が使われることがあります。VPN接続後だけ社内システムに届かない場合は、端末のIPだけでなく、VPNの仮想アダプター、ルーティングテーブル、接続先の重複範囲を調べます。

コンテナやクラウドの仮想ネットワーク

Docker、仮想マシン、クラウドのVPCなどでも172系のプライベート範囲が自動作成されることがあります。ホスト側LANと仮想ネットワークのCIDRが重なると、外部へ出る通信やコンテナ間通信が不安定になることがあります。自動設定をそのまま使うのではなく、既存LANの範囲と照合してください。

172.16のIPアドレスを確認する手順

  1. 入力値をIPv4として確認する:ポート番号やURLが付いていないかを外し、4つのオクテットに分かれているかを確認します。
  2. 第2オクテットを見る:172.16~172.31なら、まずRFC 1918のプライベート範囲候補と判断します。
  3. 種別判定を行う:IPアドレス種別判定ツールで、プライベート、グローバル、CGNAT、特殊用途などの分類を確認します。
  4. サブネットを合わせて読む:172.20.5.10/24ならネットワークアドレスは通常172.20.5.0です。実際のマスクが/16や/20なら範囲が変わるため、表示されたマスクを優先します。
  5. 利用場所と経路を照合する:端末のWi-Fi詳細、ipconfig、ルーターのDHCP設定、VPNの仮想アダプター、クラウドのVPC設定を順に確認します。

範囲の開始・終了、ネットワークアドレス、ブロードキャストアドレスまで計算したいときは、サブネット計算ツールIPレンジ計算ツールで検算できます。プライベートIP全体を一覧で確認したい場合は、プライベートIPアドレス範囲一覧も参照してください。

接続できないときに確認するポイント

172.16系だから接続できないのではなく、アドレス、マスク、ゲートウェイ、経路、名前解決のどこかが合っていないことが多いです。次の順番で切り分けると、設定をむやみに変更せずに済みます。

症状確認する項目よくある原因
同じLANの端末に届かないIP、サブネットマスク、ARP、VLANマスク違い、Wi-Fi端末分離、IP重複
VPN接続後だけ社内に届かないVPNアダプター、経路、CIDR自宅LANと社内LANの範囲重複、経路不足
172.16のアドレスを公開サービスに使えないグローバルIP、NAT、ポート転送プライベートIPはインターネットから直接到達できない
検索サイトで情報が出ないIPの種別と検索目的プライベートIPを公開IPの位置情報として検索している

同一セグメントの判定やネットワークアドレスの考え方は、IPアドレスのセグメント解説で確認できます。設定を変更した後に同じIPを複数端末へ割り当てた可能性がある場合は、IPアドレス重複の原因と直し方も役立ちます。

IPアドレス 172に関するFAQ

いいえ。プライベートIPに該当するのは172.16.0.0/12、172.16.0.0~172.31.255.255です。172.0.0.0/8全体ではないため、第2オクテットが16~31かを確認します。

172.16.0.0から172.31.255.255までです。第2オクテットが16、17、…、31のいずれかなら、この範囲に含まれます。

172.16系は第2オクテットが16~31の172.16.0.0/12、192.168系は192.168.0.0/16です。どちらも内部ネットワーク用ですが、既存のVPNや拠点と重ならない方を選びます。

公開IPのような位置情報検索はできません。172.16系は通常、家庭・社内・VPN・仮想ネットワークの内部で使われるため、ルーターや端末、VPN管理画面で確認します。

はい。172.31.1.1は172.16.0.0/12の範囲に入ります。ただし、実際にルーターやサーバーへ設定できるかは、利用中のサブネット、DHCP範囲、他の機器との重複を確認してください。

まとめ

IPアドレス 172を見たときは、先頭の172だけでプライベートIPと判断しないことが重要です。RFC 1918でプライベートに指定されているのは172.16.0.0/12で、第2オクテットが16~31の範囲に限られます。

172.16系を家庭LAN、VPN、コンテナ、クラウドで使う場合は、サブネットマスク、DHCP範囲、デフォルトゲートウェイ、接続先ネットワークとの重複を確認します。範囲の判定はIPアドレス種別判定、計算はサブネット計算と使い分けると、見た目だけに頼らず安全に切り分けられます。